風邪やインフルエンザなどで高熱が出た際にお世話になる解熱鎮痛剤。
実は医薬品によりその有効成分が異なるため、症状に合わせて適切な解熱鎮痛剤を選択することが大切です。
今回は解熱鎮痛剤の種類や作用機構について解説します。
コロナワクチンの副反応による発熱に使用できる解熱鎮痛剤についても触れます!
1.そもそもなぜ熱が出るのか
風邪やインフルエンザ等に感染した際に発熱するのは、身体の防御反応です。
私たちの免疫機能はより高い体温で活性化するため、身体は発熱することで細胞内に侵入した細菌やウイルスを退治しようとしているのです。
またウイルスは低温を好むことが多いので、高温環境では増殖しにくくなるメリットもあります。
したがって基本的には、熱が出たときはあまりむやみに解熱剤を使わない方がよいとされています。
解熱剤は熱を下げるだけで、病原菌を退治しているわけではないのです。
一方で発熱すると体力を消耗し、 発汗による塩分・水分の喪失、頭痛・倦怠感といった不快感などの症状がでてしまいます。
解熱剤はこのような症状を和らげる働きがあるので、38.5度以上の発熱で使うのが好ましいそうです。
解熱剤で熱が引いたからといって、無理に出社・通学しないようにしましょう。
2.解熱鎮痛剤の成分(バファリンプレミアム)
では解熱鎮痛剤の成分はなんなのでしょうか。
バファリンプレミアム(LION社製)を例に見てみましょう。
- アセトアミノフェン 130 mg
- イブプロフェン 130 mg
- 無水カフェイン 80 mg
- アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg
- 乾燥水酸化アルミニウムゲル 70mg
このうちアセトアミノフェンとイブプロフェンが解熱鎮痛の有効成分です。
そしてこのアセトアミノフェンとイブプロフェンはそれぞれ異なる働きかたをします。
まずアセトアミノフェンですが、下記のような芳香環と水酸基、アミド結合を有する化合物です。
アセトアミノフェンは身体の体温調整中枢に働きかけ、体温を下げさせる効果があります。
胃への影響や副反応が少なく、子供でも服用できるほど安全性が高いため、非常に使用頻度が高い薬です。(過剰の服用は危険です。)
一方で病原菌やウイルス、炎症箇所に直接作用するわけではありません。
イブプロフェンは、アセトアミノフェンと異なり、抗炎症作用を持ちます。
ウイルスや細菌などにより炎症した箇所からは、プロスタグランジンなどの活性物質が生成され、これが発熱や痛みの原因となります。
イブプロフェンはこのプロスタグランジンの生成を抑制するため、解熱や鎮痛の効果が得られるのです。
ちなみにイブプロフェンは下記のような化合物となります。
イブプロフェンは不斉炭素を持つため光学異性体が存在し、このうち有効成分とされているのはS体のようです。
しかしR体も体内で酵素によりS体に変換されるらしく、市販薬はラセミ体で販売されています。
バファリンプレミアムはアセトアミノフェンとイブプロフェンを両方含有している点が特徴ですね。
3.解熱鎮痛剤の成分(ロキソニンS)
解熱剤として有名なロキソニンS(第一三共社製)ですが、こちらはロキソプロフェンナトリウム水和物が主成分です。
ロキソプロフェンの構造は下記の通りです。
イブプロフェンと同じく抗炎症作用を有し、プロスタグランジンの生成を抑制する効果を持ちます。
アセトアミノフェンよりも効果は強いですが、胃への負担が大きいようで、空腹時は服用しないようにしましょう。(消化性潰瘍を患っている方や妊娠中の方などは服用が推奨されていません。)
ロキソニンは第一医薬品のため、薬剤師から説明を受けて購入しましょう。
4.コロナワクチンによる発熱にオススメの解熱鎮痛剤は?
解熱鎮痛剤の有効成分は、症状や患者さんに応じて使い分けられています。
ではコロナワクチンによる発熱に対しては、どの種類の解熱剤が有効なのでしょうか。
厚生労働省は、必要に応じて市販の解熱剤を服用するよう発表しています。
(厚生労働省 HP:https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0006.html)
アセトアミノフェンやイブプロフェン等、いずれの解熱剤も問題ないようですので、普段から使用している自身にあった解熱剤を使用することが好ましいと思われます。
特に普段使いの解熱剤がない方は、熱を下げるだけならアセトアミノフェン、頭痛などが激しい場合はイブプロフェンやロキソプロフェンを含むものが良いかもしれません(対象年齢等、しっかり確認するようにしましょう)。
なおワクチンを受けた後、症状が出る前に解熱鎮痛薬を予防的に繰り返し内服することについては、現在のところ推奨されていません。
ちなみに私は熱と頭痛の症状が出たため、アセトアミノフェンとイブプロフェンを両方含む"バファリンプレミアム"を服用しました。
症状が緩和されるため、事前に用意しておくことをお勧めします。
価格:1,068円 |
副反応による発熱は若い人などで発症しやすいです。不安な方は事前に解熱剤などを用意しておきましょう。