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ヘルスケアに強みを持つ企業3 三井化学

近年化学メーカーによる構想改革が進んでいますが、今後の主役となるのがスペシャリティと呼ばれる高付加価値製品です。

その中でも成長が期待される、ヘルスケア分野に強みを持つ企業をシリーズで紹介したいと思います。

今回取り上げる企業は三井化学です。

三井化学について

まず三井化学のあらましですが、東京都港区に本社を置く三井グループの総合化学メーカーです

総合化学メーカーらしく扱う製品はフェノールのような基礎化学品から自動車材料、ヘルスケア、包装材料など多岐に渡り、下記5つのセグメントからなります。

中でも自動車用材料を中心に手がけるモビリティ、メガネレンズなどが好調なヘルスケア、包装材料等を含むフード&パッケージングが主力事業です。

売上高は基盤素材事業が半数近くを占めますが、モビリティやヘルスケアなどもバランスよく稼いでおり、営業利益でみるとモビリティが過半数でヘルスケアやフード&パッケージングが続きます。

MITSUI CHEMICAL REPORT 2020より

今でこそ好調な三井化学ですが、リーマンショック時には業績が大きく悪化しており2008年に赤字を記録しています。

リーマンショック以降も、中国での景気刺激策による石化プラントの新増設をはじめとして海外勢力が台頭してきたため、それまでのコア事業であった石化を含む基盤素材事業の経営環境は一変してしまいました。

そこで三井化学は立て直しに向けてポートフォリオの改革を進め、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージングの3領域を成長の牽引役として拡大を進めてきたのです。

そんな三井化学のヘルスケア事業は売上の10%程度ですが、利益面では20%前後を占めており、主力事業へと成長しています。

三井化学のヘルスケア事業

ヘルスケア部門で扱う製品としては、メガネのレンズや紙おむつ用不織布、歯科材料などとなり、得意とする素材の知見を生かしたメガネレンズは世界シェア45%と非常に好調です。

幅広い屈折率をカバーし、防曇や調光といったレンズへの機能の付与が強みのようです。

このように三井化学のヘルスケアは素材面に強みをもつのですが、一方で医薬などには弱いのです。

同じ総合化学メーカーの三菱ケミカルや住友化学、旭化成は傘下の製薬メーカーを医薬品成長の柱としていますが、三井化学は自社医薬品事業から独立した医療会社を2000年ごろに売却していました。

したがって三井化学のヘルスケア分野は他の総合化学と比較しても売上がやや小ぶりです。

しかし三井化学も医療分野へ事業領域を広げるべく、新たに核酸医薬のCDMOへの参入を図っています。

CDMOは富士フイルムの解説時にも出てきた受注製造サービスのことで、下記記事で解説しています。

そして核酸医薬品はバイオ医薬品でも特にDNAやRNAを用いた次世代医薬品で、新型コロナウイルスワクチンとして用いられたmRNAワクチンも、培養より作られた核酸医薬品です。

実は三井化学も2000年ごろに核酸事業を手がけていましたが、事業化につながらず撤退していた経緯があります。

当時は分解されやすい核酸で狙った薬効を発現させることが難しかったのですが、体内で分解されにくい修飾核酸の開発などにより核酸医薬品の新薬も承認され始め実用化が進んでいます。

現状核酸医薬品は希少疾患向けですが、今後生活習慣病などに適用範囲が広がると期待され、現状5000億円の市場が、30年には2兆円にまで成長すると見られています。

三井化学はそのような成長性に目をつけ、かつて撤退した核酸医薬への再挑戦を決めたようです。

とはいえ核酸医薬は日東電工や住友化学が先行している分野でもあります。

一方で三井化学もかつて培った独自の発酵技術により核酸へ安価に修飾基を付与できるほか、スタートアップ企業のナティアスと提携し、ナティアスが保有する大量生産に適した液相合成法を活用することで、早期に事業を立ち上げ、製造コストが高い核酸医薬にコスト低減で切り込むものと思われます。

三井化学の再挑戦、今後の伸びに着目しましょう。

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今回は総合化学メーカーと呼ばれる三菱ケミカルG、住友化学、三井化学、加えて旭化成、東ソーの5社を解説します。 事業内容も比較していますので、就活、転職、株式投資のご参考に良ければ最後までご覧ください。

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Youtubeのコミュニティに寄せられたコメントをテーマに取り上げ、化学業界を見通してみる企画です。

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