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【歴史】化学業界の主役は?売上比率からみるその変遷について

 化学業界はさまざまな分野を含む特殊な業界であり、時代のニーズに応じて多様な製品を作り上げてきました。

 そしてその中身も、時代の流れの中で移り変わってきているのです。

 今回は化学業界の歴史と、今後の動向についても考察しました。

1.化学業界の主役とその歴史

 戦後間もない1950年代は、衛生面から油脂に代表される石鹸や、食糧増産のニーズから肥料が化学業界の中心でした。化学メーカーが困窮する国民の生活を支え、復興の礎を築きました。

 1950年代後半からは石油化学が台頭し始めます。日本の高度経済成長を支えながら急速に成長し、瞬く間に化学業界の主役におどり出ます。

 しかしこの時期は急激な発展のしわ寄せにより、公害問題や環境汚染問題が深刻になりました。四大公害病はすべてこの期間であり、化学業界に対する視線は厳しいものとなりました。

 1970年代には二度のオイルショックを経験し、石油化学は頭打ちし始めます。その後も化学業界にとって厳しい時期が続きましたが、各企業はコストダウンや排水・排気ガス処理技術の向上により耐え抜き、現在でも石油化学は化学業界の一大分野です。

 2番手、3番手の医薬品や無機化学はコンスタントな成長を見せており、特に医薬品はよく伸びていますね。
 医薬品は少子高齢化により人口減少が続く日本においても伸びが期待される、稀有な分野なのです。

 2000年ごろはフィルム写真の需要増により写真感光材料が伸びますが、デジタル化により低迷。

 代わりに4番手として2000年以降はインバウンドなどの影響で化粧品が成長してきますが、直近は新型コロナの影響で減収が相次いでいます。

 また独立した項目がないため補足できていませんが、電子材料もここ20年で大きく伸びています。

 個別には栄枯盛衰がありますが、全体としては大きく成長してきました。

2.これからの化学業界

 化学業界は産業全体で見ても2位の出荷額を誇る、日本の一大産業です。

2018年 日本の生産業の出荷額(工業統計表より)

 日本の復興を支え、オイルショックや公害問題などを経験しながらも成長を続けてきた日本化学メーカーの技術力は世界でも有数のものがあります。

 しかし現在日本は人口減少や国内産業の空洞化が進み、化学メーカーもグローバルに成長せざるを得ない状態となっています。

 一方で欧米では業界再編が続いたことで巨大企業が誕生しており、豊富な資金力を背景にM &Aを進め、さらに成長を続けています。

 新興国でも自国の経済成長により化学メーカーが成長してきているため、海外企業との競争は激化すると予想されます。

 日本企業においても海外企業と渡り合うために業界再編が進んでおり、エネオスによるJSRエラストマー事業買収もその一環です。
 詳しくはこちら(エネオスがJSRエラストマー事業を買収、化学業界はどう変わるのか)

 現在化学業界で課題となっている持続可能社会の実現は、省資源国日本が世界に先行している分野でもあります。

 日本の技術力を活かし、化学メーカーの世界での存在感を強めたいところですね。

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